お告げの相手は誰ですか?
「それが…
私、思ってたよりあまり時間が取れないみたいなの。
新しく入ってきた第一秘書の方がまだ会社に全然慣れてないせいで、私のやることがかなり多くて」
慎之介は俯きがちにビールを飲んでいた。
そして、何かひらめいたような顔をした。
「それじゃ、僕が二階へ行くのはだめですか?」
「う~ん、それは…」
律は、慎之介が不安になる気持ちもよく分かった。
大抵の新入社員は、一週間ほどは先輩社員からみっちり引き継ぎを受ける。
律が変則的な異動だったため、慎之介にまで迷惑がかかっている。
「慎之介君、もしよかったらなんだけど…
明日の土曜日って暇?
慎之介君が会社に来れるのなら、明日、ちょっとやる?
引き継ぎ…」