お告げの相手は誰ですか?

   恋する坊や




右京は律の車を降りた後、しばらく、エントランスで優花の帰りを待った。


優花とは清花の一人娘だ。
優花が2歳の時に、清花は離婚をして実家に帰ってきた。
でも、実家といってもその頃はもう右京しかいない。
右京と清花の両親は、右京が12歳の時に離婚した。そして、母親は右京達の暮らす家から出て行った。

でも、子煩悩な父とミーコが近くにいてくれたから、右京は寂しくはなかった。
大学を卒業した清花も、右京を思い実家に帰ってきてくれたから。
でも、そんな父も5年前に病気で亡くなった。


優花は右京が育てたと言っても過言ではない。
清花が立ち上げた事業が成功し忙しくなったためだ。

寂しい幼少期を過ごした右京は、この可愛い姪っ子に絶対寂しい思いをさせたくはなかった。
清花がいなくても右京がいる。
右京はいつも優花の近くにいる。

三日前までは、それが右京の全てだった。



優花より気になる奴が現れるまでは…




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