お告げの相手は誰ですか?
律は急いで資料作りを済ませ、以前、自分が使っていたデスクの上を片付けてそこにもう一つ椅子を持って来た。
すると、慎之介が部屋に入ってくるのが見えた。
「おはようございます」
慎之介は少し照れ笑いをして律に頭を下げた。
律は、慎之介の私服を見て少しときめいていた。
濃い目のデニムに白のTシャツ、そしてその上にグレーのパーカーをはおっている。
飾り気のないシンプルな格好だ。
律はそういう自然体なスタイルが好きだった。
色白で長身の慎之介にはよく似合っている。
律は心の中で合格とささやいた。
「慎之介くん、昨日は大丈夫だった?」
「あ、はい。
でも、後半はほとんど記憶がなくって…」
実は、慎之介はまだ頭痛がとれていなかった。
昨夜は、緊張のせいか、かなり酔ってしまった。
普段はそんなに酔う方ではないのだけれど…