お告げの相手は誰ですか?
律と慎之介は、二人しかいない広いオフィスで肩を寄せ合って引継ぎに没頭した。
普段は土曜日に出てくる人は必ずいる。
でも、不思議と今日は誰も出てくる気配がない。
律はこの偶然をまたもやお告げの夢に結び付けていた。
第一印象はとても大人しそうに見えた慎之介だが、話してみるとよく喋るしよく笑う。
律は引継ぎの合間に慎之介と交わす他愛もない雑談が、すごく楽しかった。
そして、話の流れでお互いの恋人の存在の質問になった。
「律さんは彼氏はいるんですか?」
律は素直に正直に「いません」と答えた。
でもこの先は…
律の心の中に大きな期待と喜びが膨らんでいる。
今が伊集院家に生まれた女子の正念場だ。
でも、慎之介がお告げの相手ならば、自然の流れに身をゆだねていてもきっと結ばれる。
「慎之介くんは?」