お告げの相手は誰ですか?
入社式当日、律は早めに出社した。
なんだかそわそわして気が落ち着かないのも確かだが、もしここの部に配属になった人の中にお告げの相手がいるのなら、とにかく第一印象が大事だと思い机の回りの片づけにいそしんでいた。
「律、今日は早いけどどうしたの?」
同じ部で一番仲良くしている希美が、からかい口調で聞いてきた。
「ちょっとゴチャゴチャしてるから片付けてるだけ。
4月だし、春だし、心機一転頑張ろうかなって思って」
希美は「ふ~ん」と言うと、律を手招きした。
「今、聞いた情報、律にも教えてあげる。
うちの部に入ってくる男の新入社員の出身大学。
早稲谷大学、立京大学、もう一人は地方の国立大だって」
「へ~~、そうなんだ…」
「イケメンは立京大の子らしい。
早稲谷はインテリ系で、国立は体育会系」
「ふ~ん」
律はある事に気づいていた。
婿捜しに必死なのは私一人ではないことに…
この希美だって、彼氏いない歴4年のシングルガールだった。