お告げの相手は誰ですか?
律が帰ろうとして車に乗り込むと、右京も助手席に乗ってきた。
「右京さん、自転車は?
それに買い物?」
右京は面倒臭そうにため息をついた。
「買い物はもういい。
それに自転車は会社に置いて行く」
律の方こそため息をつきたかった。
こんなに手のかかる大人って初めてだ。
「右京さん、じゃ、自転車置き場に置いてきてください」
律がそう言うと、右京は「俺が?」と自分を指さしている。
律は厳しい怒った表情で「そう」と大きく頷いた。
右京は渋々車から降りた。
でもすぐに運転席の方へ回り込んで、窓ガラスをコンコンと叩く。
律は窓を開けて「何ですか?」と聞いた。
「俺を置いて帰るなよ」
右京はそう言うと、自転車を押して自転車置き場の方へ歩いて行った。
律は右京の律に対する態度の意味が分からなかった。
でも、右京の後ろ姿を見ていると、何だか胸が締め付けられるような感覚に陥る。
放っておけない…
守ってあげなきゃ…
この私の気持ちって、一体何なんだろう…