お告げの相手は誰ですか?



デート?
律はバックミラーで右京を見た。
右京は窓を開けて外の景色を見ている。

涼し気な目元に整った鼻…
実は、清花よりも優花よりもきれいな顔をしていると律は思っていた。

そして、右京がたまに見せる寂しげな顔も律は知っていた。


海に着くと、誰よりも右京が張り切っていた。
優花を抱えて、砂浜に走っていく。

白いポロシャツに紺色の短パンを履いてビーチサンダル姿の右京は、海に喜んではしゃぐ子供のようだ。


律は右京のギャップに戸惑っていた。
優花を優しい目で見る右京、優花とじゃれ合う子煩悩な右京、とにかく家族思いの右京…

ただのわがままなお子ちゃま坊やと思っていたのに、今、律の目に見えている右京は包容力のあるたくましい大人の男だ。

律の心はざわついていた。



すると、ポケットに入れている携帯が鳴った。

“律さん、昨日はありがとうございました”


慎之介からのLINEだった。



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