お告げの相手は誰ですか?
入社式は、朝の九時から始まる予定だ。
律は必要以上に緊張していた。
きっと入社式を済ませた人達はそれぞれの配属先の部署に挨拶にくる。
二年前、律達もそうやってこの会社に入ってきた。
10時が少し過ぎた頃、廊下の辺りがにぎやかになった。
社長の笑い声がする。
この会社の社長は、女性で38歳のバリバリのキャリアウーマンだった。
容姿端麗で、その上腰も低く誰からにも愛されるキャラだ。
30歳の時に自分で立ち上げた女性向けの通販ショップサイトが瞬く間に人気ショップサイトとなった。
決しておごらず感謝の気持ちを忘れない彼女は、8年でここまでの会社に成し遂げた。
そんな社長が機嫌よくドアを開けて総合企画部に入ってきた。
そして、その後ろにぞろぞろと新入社員が続いて入ってくる。
律は新入社員をガン見していた。
背が高くて、黒髪で…
3人の男性社員はそれぞれの個性の持ち主だった。
中肉中背の彼がきっとイケメンの子に違いない。
むっつりマッチョ系の角刈り頭の彼はきっと国立大の子だ。
そして、背が高くて黒髪の男の子…
早稲谷大から来たこの子しかいない。
ひょろっとして背が高い彼は、うつむきがちの大人しそうなタイプの子だった。