お告げの相手は誰ですか?
まずは、社長が新入社員へこの総合企画部の仕事をざっと説明した。
まだ、どの係に配属になるかは決まっていない彼らは、キョロキョロと周りを見渡している。
律のいる企画対策係は、名前は固いが少人数で皆が仲良くとても楽しい係だった。
この内の誰がここに入ってくるんだろう…
律がそんな事を考えていると、それぞれの自己紹介が始まった。
背の高い早稲谷大卒の男の子の名前は田中慎之介といった。
律は一瞬で頭にインプットした。
そして、慎之介をまじまじと見ていると、突然、社長に律の名前を呼ばれた。
「それと、伊集院律さんは、今日付けで秘書課の方へ異動してもらう事になったのでよろしくね」
律は言葉を失ってしまった。
秘書課といったら社長の阿部清花の左腕と呼ばれている50歳過ぎの鈴木しかいない、あってないような課だったから…
新入社員を引き連れて帰ろうとしている清花に、律は詰め寄って理由を聞いてみた。
「社長、すみません。
理由を教えてください。
どうして急に私は秘書課へ異動になったんでしょうか?」
清花はすまなそうな表情を浮かべ、でもすぐに笑顔になり律にこう言った。
「あとで、社長室へいらっしゃい。
理由を聞かせてあげるから…
でも、あなた、怒っちゃうかもしれないけど」
清花はそう言って律にウィンクをしてそこから出て行った。