お告げの相手は誰ですか?
「やっと、帰ってきた」
右京は、律と清花を見て喜んでそう言った。
清花は軽く微笑んで、社長室へ入って行った。
「右京さん、社長に電話とかなかったですか?」
右京は電話を指さした。
そこには色とりどりの付箋が貼っている。
律は大げさに喜んで見せた。
「右京さん、やればできるじゃないですか」
右京は自慢げに鼻を鳴らして微笑んだ。
「もうしばらくはどこも行かないだろ?」
「社長とですか?」
右京は恥ずかしそうに頷いた。
「来週にまたありますので、右京さん、また留守番お願いしますね」
「え~~、マジか~~」
右京は真剣に落ち込んでいる。
「大丈夫ですよ。
電話とるだけですから」
右京は律を手招きして給湯室へ連れてきた。
「ほら、見てみ。
俺がどれだけ寂しくてこの甘いコーヒーを飲んだことか」
シンクの中には5、6個の空になった紙コップが置いてあった。
“うさぎは寂しかったら死ぬんだぞ”
私が右京の元を去ってしまったら、右京は本当に死んでしまうかもしれない…