お告げの相手は誰ですか?



土曜日の夕方、律は慎之介とスカイツリーの前で待ち合わせをした。
慎之介は下町の出身で、この近くにあるお洒落な隠れ家風の居酒屋を予約をしていたからだ。

二人は夕空にそびえ立つスカイタワーを背にして、そのお店まで散歩がてら歩いた。


「律さん、こんな下町まで連れてきてごめんなさい」


慎之介はまたシンプルで清潔感あふれる恰好をしている。
照れて笑う仕草は本当に可愛かった。


「全然、いいよ~
逆にこういう場所をチョイスしてもらって嬉しい」


慎之介は律とこんなにゆっくり話せるのは一週間ぶりだった。
同じ会社にいるのに、一階と二階ではほとんど顔を合わせることがない。
でも、慎之介の心の中は日に日に律の存在が大きくなっていた。
今では苦しいほどに、慎之介の心の中を律が占領している。


「律さん、今日は僕におごらせて下さい。

だって、こんな新入社員の僕につき合ってもらってるだけでも感激してるんですから」




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