お告げの相手は誰ですか?



慎之介が選んでくれたイタリア風居酒屋は、小さな路地を奥まで入った目立たない一角に佇んでいた。
その周りはイタリアを感じさせるほどのたくさんの花にあふれ、外観は中世のヨーロッパを思わせるほど細部まで凝った作りだ。


「素敵…」


店の中に入ってからも、律はため息ばかりついていた。
人を見かけで判断してはいけない。
律が思い描く慎之介のイメージは、駅前の一般居酒屋が似合っていたから。


「それで、仕事はどう?」


律は甘いワインを飲みながら慎之介に聞いてみた。


「はい、何とかやってます。
この間、律さんに作ってもらった引継ぎの資料のおかげです」


慎之介はワインのせいで頬が赤くなっている律をジッとみていた。


「律さんは?
仕事慣れましたか?

なんか社長の弟さんの色々な噂を耳にするけど、大丈夫ですか?」


律は苦笑いをした。


その噂、知りたいようで知りたくない。
きっと、半分は当たっているはずだから…







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