お告げの相手は誰ですか?
律は慎之介と別れた後、すぐに家に帰る気になれなかった。
母も祖母もこの話をすれば、何が何でも慎之介の肩を持つだろう。
それは仕方のないこと…
だってお告げの相手なんだから…
律は家に帰る途中にある小さなワインバーに入った。
中途半端に飲んだせいで頭の中が冴え渡っている。
もっと飲んで何も考えられないようになりたかった。
結ばれないと分かっているからこんなに右京が恋しいのかな…
律は半分朦朧としながら右京に電話をした。
ただ声が聞きたかった。
「もしもし、律?
どうした?」
「…うひょう、さん…」
律は右京の声を聞いたら一気に酔いが回ってきた。
「今、どこにいるんだ?
一人か??」
「ひゃい…
ひとりで…す…
ばひょは…
いえのちかくの…わいんばー…」
「もしも~し、律、聞いてる?
ワインバーの名前は?」
律はぐらぐらする頭を振りながら、目の前にある店の名前の入ったコースターを見ていた。
「ま…るこ…ぽ…ろ」