あなたに贈るホラー短編小説
「私、あなたに会いたかったの」
亜美がそう言って、
その美しい顔に笑みを浮かべた。
僕はかつて、
この美しい亜美を愛した。
でも、今は違う。
僕は今、
この女には会いたくない……。
「あなたが私に会いにきてくれないから、
私があなたに会いにきたの」
ふざけるな。
僕が、
どれほどきみに会いたくないかを
きみは知っているくせに。
そう思って
僕が亜美の顔を見つめたとき、
かつての二人の会話が
僕の頭の中で蘇った。
〈 私、あなたと別れたりしないわ。
私は、
あなたと一緒に
これからもずっと生きていきたいの 〉
〈 それはできない。
僕はもう、
決めたんだ。
僕は、
島田家の娘、
島田静子と結婚する。
だからもう、
僕たちは終わりにしよう 〉
〈 そんこと許さないわ。
絶対に! 〉
そう言って
僕を睨んだ亜美の次の言葉が、
僕の人生を変えた。
〈 私のお腹のなかには、
あなたの赤ちゃんがいるのよ! 〉