あなたに贈るホラー短編小説
「あなたの行きつけのスナックのホステスに頼んで、
あなたのお酒に睡眠薬を入れたの。
それで眠ってしまったあなたを
私が雇った男たちが
このホテルの一室に連れてきて
あなたをロープで縛ったわ。
手荒なまねをしてごめんなさい。
でも私、
どうしてもあなたに
聞きたいことがあって、
どうしても真実が知りたくて、
あなたにこんなまねをしてしまったの。
私はまだ、
心からあなたを愛しているのに……」
亜美はそう言って、
不気味な笑みが張りついたままのおぞましい顔を僕に近づけた。
「私はあなたに
正直に答えて欲しい」
亜美はそう言って、
僕の喉元に果物ナイフをあてがった。
僕は、
心臓が止まってしまうのではないかと思うほどドキリとして
思わず悲鳴を上げていた。
「私はまだ、
あなたを愛している。
だから私は、
あなたを傷つけたくはない。
だからあなたには、
真実を話して欲しいの」
亜美はそう言って、
果物ナイフの刃先を
僕の首の皮膚にめり込ませた。
僕は、
皮膚を切り裂かれた
痛みとともに
全身を覆う恐怖を感じていた。
僕の大切な命は、
気まぐれな亜美の
気持ち一つにかかっていた。