【短】オンシジウム
淡々と朝食の食器を洗う君の隣で僕がそれを拭く。
2人でやる作業はあっという間で、キッチンを去ろうとする君の背中に声を投げた。
「明日、17時に出るから。」
「分かった。」
冷えた関係は素っ気なく味気ない。
昼間はそれぞれが仕事や趣味、友人と時間を過ごし夜は別々の部屋で寝る。
顔をあわせるのは食事くらいだ。
「明日のパーティー終わったら、ちゃんと話さないとな。」
掠れた声が当てもなく消える。
君と恋人で無くなると思っても僕の心は波立たない。
どこかホッとした様な、納得した様な、それでいて心にぽっかりと穴が開いたようなそんな感覚。
いい歳してこれ以上惰性の関係も続けていられない。
お互いの為に次に進まなければ。