【短】オンシジウム
久しぶりに粧し込んだ君を見た。
そういう僕も普段とは違う。
今更デートなんてすることもなかったけど、偶に2人で出かけても身なりなんて気にしなかった。
「準備出来てるか?」
問いかければ首を一つ縦に振る。
言葉足らずなのは自覚してる。
気の利いた綺麗やかわいい、そんな一言も口を出ない。
初めの頃は言っていたはずなのに。
愛想も尽かされるし刺激がないのも当然だ。
無言で僕の愛車に2人で乗り込む。
君が助手席でドライバーは僕。
「このパーティーが終わったら話をしないか?」
「そう…だね。」
ずっと直視するのを避けてきた。
でも、口に出してしまった今もう逃げられはしない。