悪夢から蛇
†‡【プロローグ】‡†
駅のホームほど臭くて騒がしい場所はない。
鼻と耳が刺激されて頭が痛くなってきた。
階段の側では、何がそんなに可笑しいのか、女子高生たちが猿のように甲高い声をあげてゲラゲラと笑っている。
隣に立っている男のイヤフォンから漏れ聞こえる音も、かなり煩わしかった。
辺りは密度の高い湿った空気におおわれていて少し息苦しい。
「終日禁煙」としつこいくらいに張り紙がしてあるのに、喫煙所でもないところで、頭の禿げ上がったオヤジが気持ち良さそうに煙草の煙を吐き出している。
電車は到着時刻を過ぎてもなかなかやってこなった。
もう二分も遅れている。
イライラと革靴の爪先で地面を何度も叩き、腕時計と電光掲示板を何度も見比べる。
いや、もう時間を気にする必要などないのだ。
自分のやっていることの滑稽さにようやく気づき、思わず自嘲の笑みがこぼれた。
一分単位の時間に縛られる生活が続いて、それが身体の芯まで染み付いてしまったらしい。
ふぅとため息をついたところで、ちょうどそれをかき消そうとするように、電車の到着を知らせる大音量の電子音が流れてきた。
アナウンスが電車の遅延をわびて、黄色い線の内側に下がるように警告してくる。
鼻と耳が刺激されて頭が痛くなってきた。
階段の側では、何がそんなに可笑しいのか、女子高生たちが猿のように甲高い声をあげてゲラゲラと笑っている。
隣に立っている男のイヤフォンから漏れ聞こえる音も、かなり煩わしかった。
辺りは密度の高い湿った空気におおわれていて少し息苦しい。
「終日禁煙」としつこいくらいに張り紙がしてあるのに、喫煙所でもないところで、頭の禿げ上がったオヤジが気持ち良さそうに煙草の煙を吐き出している。
電車は到着時刻を過ぎてもなかなかやってこなった。
もう二分も遅れている。
イライラと革靴の爪先で地面を何度も叩き、腕時計と電光掲示板を何度も見比べる。
いや、もう時間を気にする必要などないのだ。
自分のやっていることの滑稽さにようやく気づき、思わず自嘲の笑みがこぼれた。
一分単位の時間に縛られる生活が続いて、それが身体の芯まで染み付いてしまったらしい。
ふぅとため息をついたところで、ちょうどそれをかき消そうとするように、電車の到着を知らせる大音量の電子音が流れてきた。
アナウンスが電車の遅延をわびて、黄色い線の内側に下がるように警告してくる。