悪夢から蛇
 夢にはそれぞれ意味があるのだと聞いたことがある。

夢占いというやつだ。

だからといって、この夢の意味を調べてみようという気は全く起こってこない。

“占い”と名の付くものは例外なく大嫌いだからだ。

 夢は眠りの浅いときに見るもので、ぐっすり眠ることができればそれで解決する。

こんなに夢が続くのも、それらの全てが異様なまでにリアルな死の夢であっても、ただの偶然でしかない。

いつも通りに過ごせば、こんな夢は自然と見なくなっていくだろう。

だから何も気にする必要はないのだ。

 そろそろ準備に取りかからないと学校に遅れてしまう。

遅刻ギリギリで登校する僕にとって、朝の一分はとても貴重なものだ。

これ以上のんびりしている暇はない。

 立ち上がってストーブを消す。

寝起きで少しふらつく足元を励まし、一度大きく伸びをしてから部屋を出た。






 窓の桟に腕を組んで乗せ、腕の上にあごを乗せて外の景色を眺める。

久しぶりの快晴だ。

最近は曇り空ばかり眺めていたから、少しうれしい。

日の光が直接照ってきてじんわりとした暖かみを感じるが、外から吹き込んでくる冷たい風の前では、それは微々たるものだった。
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