眼鏡男子に愛されて
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「泉美ちゃん! 何か隣のクラスの人が呼んでるよー!」
放課後、急いで支度をして俊の元へ行こうと思っていた泉美に、クラスの女子が声をかけた。
「え、誰?」
「わかんない。でも、瀬野さんを呼んでくださいって言われたもん」
泉美は首を傾げながら扉の方を見る。
そこにいたのは知らない人で、1度も喋ったこともなければ見たこともない。
……けど。
「ちょっと百合!」
「なによ」
「あの人可哀想!!」
「は!?」
突然そんなことを言い出す泉美に、百合は不審そうに眉をひそめる。
「だって、だって!! ……………あの眼鏡全然にあってないよ!!!」
「……………………」
泉美の言葉に、百合は呆れたように半目でため息をついた。
「そう? どうでもいいわ」
「もぉっ!!」
「そんなことはいいから、早く行ってきなさいよ。待ってるわよ」
どうでもよさげに百合が言うので、泉美はしぶしぶ、扉の方へ向かう。
「あの、何か用かな?」
首をかしげる泉美に、その男子生徒は言いにくそうに頬をかいた。
「あの、ここじゃ………ちょっと。……中庭に来てくれないかな……」
「え、……うん」
ここでできない話ってなんだろう?と思いながら、泉美は男子生徒の後をついていく。
(篠宮先輩、待ってくれてるかな……でも約束してるわけじゃないし………)
早くしなければ、帰ってしまうかもしれない。