眼鏡男子に愛されて

そう、しょせんはただの先輩と後輩で。
この毎日は約束してるわけでもないから、いつなくなってもおかしくない。


泉美はそこまで考えて、はっと頭をふった。


(今は……早く行くことだけ考えなくちゃ)


泉美は中庭につくとすぐに、男子生徒を見上げた。


「で、話って何かな?」


「あ、あの………」


煮え切らない態度に、泉美は心の中で叫ぶ。



(お願い!! 早くしないと篠宮先輩が………!!!)


泉美の必死な様子は、表情に出ていた。


早く言って! お願いだから!!と、そんな、



………見ようによっては、期待しているともとれる表情で………。



「瀬野さん……っ! もしかして君も僕のこと……!?」


「え? な、なに?」


「なんだ!! 早く言ってよ! 僕たち両思いだったんだね!?」




男子生徒は興奮した様子でそう言うと、泉美の両肩を凄い力でつかんだ。


「え!? ちょ、やだ!! 離してっ!」


「恥ずかしがらなくていいんだよ! ちゃんと段階は踏むから! まずはキスから…」


「え!? やだ!! やだ!やめっ……」



目を閉じてゆっくりと近づいてくる男子生徒。


泉美はもはや、恐怖で動けなかった。

つかまれた肩は痛くて、後ずさることも出来ない。





やだっ!! こんなとこでファーストキスなくなるとか!!


誰か助けて!!













篠宮先輩っっっっ!!!!!!










「瀬野さん!!!!!」

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