眼鏡男子に愛されて
一緒にいた時間は、そんなに長くはないけれど。
……でも。
この気持ちを恋と呼ばないのなら、多分私はもう、恋なんてできないような気がするから。
「篠宮先輩のことが、好きですっ!!」
二人の間を、風が通り抜けていく。
「…えっ……」
驚いたような篠宮先輩。
でも、私は、止まらなかった。
「初めて見た時から、一目惚れでしたっ!! 毎日一緒にいられて楽しくて、嬉しくて……っ! だから……っ」
最後までは、言えなかった。
篠宮先輩のあたたかな腕に、抱きしめられていたから。
「篠宮……先輩……?」
「…………先、越された……」
ボソリと呟いた俊に、意味がわからなくて首を傾げる泉美。
きょとんとしながらも不安を隠せない泉美に、俊は少し困ったように目を細めた。
「……できれば、こういうのは男の方から言うべきなんだろうから……」
「え……っ」
目を見開いて固まる泉美に、俊は照れたように笑った。
「好きです。俺も、初めて見た時から……一目惚れだったと、思う……」
一言一言、胸に刻み込むように囁く声。
その声がゆっくりと、空気を伝わって、
耳に、滑り込むように入ってきて、
胸に、ゆっくりと浸透して、
その意味を理解した時…………、
涙が溢れて、止まらなくなった。
「…っふ、ぇ……うぅ……」