眼鏡男子に愛されて
「えぇ!? ちょ、なんで!? せ、瀬野さん!?」
ぼやける視界の中で、普段は冷静な俊が慌てているのを見て、泉美は泣きながらも顔をほころばせた。
その身悶えするほど愛らしい微笑みに一瞬心を奪われながらも、俊は心配そうに泉美の涙を拭う。
「ごめん、俺、女の子好きになったのも、告白したのも初めてだから……何かいけないこと言ったかな……?」
形の良い眉を寄せて、ハラハラとした様子でそんなことを言う俊は、どこかしょぼくれた犬のように見えて。
「……ふっ、ふふっ……」
「……瀬野さん……?」
「あはははっ、ははっ……!」
突然笑いだす泉美に困惑したような俊だったが、すぐに笑顔を取り戻すと、泉美をもう一度思いきり抱き寄せた。
「っきゃ!?」
目を白黒させる泉美の首元に顔をうずめると、俊はすうっと息を吸い込んだ。
「いい匂い。…甘いし、柔らかいし……小さくて…可愛くて……。もうほんと、これ以上我慢出来なかったから………良かった……」
「えっ、あ、あぁ……の、篠宮先輩……//////」
顔から湯気が出るほど真っ赤になっている泉美のことなどお構い無しに、俊はうっとりしたように続ける。
「ねぇ、もう1回、言ってくれるかな?」
「……え?」
「さっきの。『篠宮先輩が好きです』って」
「え………ええぇぇぇ!? む、むむ、ムリです!!////」
さっきの1度だけで心臓が破裂しそうだったのに、もう一度だなんて死んでしまう。
そう思って泉美は顔を真っ赤にして首を横に振るが、俊には可愛い抵抗にしか見えない。