眼鏡男子に愛されて
別に、百合だって眼鏡が嫌いとかいうわけではない。
似合えばカッコいいのだろうし、おしゃれアイテムとしてかけてる人もいるだろうし。
けど……。
「あ、言っとくけど、伊達眼鏡とかは私の敵以外の何者でもないから!!」
「…………あっそ」
泉美の理想の男が現れるのはいつのことやら……。
百合は呆れたようにため息をつきながら、二つ目の卵焼きに箸をつけた。
☆。.:*・゜☆。.:*・゜☆。.:*・゜
「じゃーね!」
「うん、また明日」
放課後。
教室の前で百合とわかれると、泉美は軽い足取りで図書室の方へ足を進める。
今日は一週間に一度の、図書当番の日。
普通の人なら嫌がるのかもしれないが、泉美にとっては今日はこの時のために学校に来たようなものだ。
と言っても、別に熱狂的に本が好きだとか、そういう訳では無い。
人並み以上に読みはするが、泉美の本当の目的は……………。
「あ、今日も結構いるなー」
広い図書室を見渡して呟く。
室内に何人かいる生徒のうち、ざっと見渡しても六割くらいは眼鏡だ。
………そう、泉美が図書委員になり、この日を毎週楽しみにしている理由が、これである。
眼鏡探し。
泉美の眼鏡好きは、別に男に限った話ではない。
男女問わず、似合う眼鏡をかけていれば目をひかれるし、もちろん、ノンフレームが似合うイケメンなんかを見かけた日には舞い上がって喜ぶ。
本を読むような人には眼鏡が多いため、泉美は図書委員として堂々と眼鏡の人たちを眺められるこの時間が、大好きだった。