眼鏡男子に愛されて
「あ〜……なるほど……」
「え、何? 何がなるほど?」
頭の上にはてなを飛ばしている泉美を見ながら、百合はまた呆れたように笑う。
「そういうことか。……なんだ、私が心配してたのが馬鹿みたいね」
「え、だから何が!?」
ひとりで納得する百合に泉美が頬を膨らませると、百合は呆れたような笑みのまま言った。
「まったく…この子のために眼鏡かけるとか……どんだけ好きなんだか…」
「え? 何? 聞こえない!」
「いいのよあんたはわかんなくて! 彼氏にでも聞いてきなさい!」
そう言うと百合はカバンを持って、さっさと帰っていってしまった。
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「こ、こんにちは!」
「クスっ……こんにちは」
いつもの放課後。
いつもの図書室。
いつもの雰囲気。
ただひとつ違うのは、今日からはただの「先輩と後輩」ではないということ。
意識しすぎてガチガチの泉美に、俊は表面上は微笑みながらも、抑えきれない喜びを隠し通すのに必死だった。
ずっと、ずっと恋い焦がれていた。
いつも同じ部屋にいたのに、その視線は向けてもらえなくて。
話しかけたくて、触れたくて、抱きしめたくて、けれど叶わなかった。
………その相手が今、こうして横にいてくれる。