眼鏡男子に愛されて
頬が急速に熱を帯びていくのを感じながら、泉美はギクシャクとした動きで貸出作業を続ける。
下を向いていても、視線を感じていっぱいいっぱいになりながら。
「返却は、一週間後になりま…す」
たどたどしく本を差し出す泉美に、少しだけ、ほんの少しだけ、その人は眼鏡の奥の瞳を細めて微笑むと、本を手に静かに図書室を出ていった。
「っっはぁ〜っ!!///」
思わず、いつから止めていたか分からない息を吐き出す。
胸に手を当てると、どきどきと心臓が早くなっているのがわかった。
(あんな人……いたんだ。初めて見た…)
ーー3年A組 篠宮 俊(しのみや すぐる)
(先輩………か……)
頬の火照りがまだ収まらないのを感じながら、泉美は貸出カードに書かれていた名前を思い出して、無意識に顔をほころばせた。