恋の物語
─がちゃり。
ドアを開ける。
「ただいまぁー」
「信治お帰りー」
「た、ただいま…」
自分の家ではないが遊びに来ているわけでもない。
朝もここからきたからお邪魔します、ではないわけで。
ただいまでいいのかな、と心配になるあたし。
つい小声になってしまう。
「花ちゃんもお帰りなさい♪」
そんな心配をよそにお母さんは笑顔で迎えてくれる。
「お母さん、ただいまです…。」
ふふっ、お母さんは微笑むとキッチンへ消えた。