恋の物語
信治のお母さんがこの間くれた可愛い洋服に腕を通す。
膝上10㎝の真っ白のレースのワンピース。
ノースリーブだ。
もう暖かいからそれに学校指定の白いカーディガン。
靴は…
─とんとんとん
階段を降りてキッチンへ向かう。
信治はまだのようだ。
「おかあ、さん」
「どうしたの?はなちゃん」
「あの…靴をお借りしたいんですけど…」
「あら、信治とデート?」
いたずらっ子のような笑顔を見せるお母さん。
「え、あ…はぃ…っ
お付き合い、させてもらってます…」
「ふふっ、はなちゃんなら大歓迎よ
靴は白いサンダルでいいかしら」
「はい、ありがとうございます」
「せっかくだからメイクでもしたらどうかしら?
貸すわよ。」
そこまでしてもらっていいのだろうか…
"私が勝手にやっていることだから"
その言葉を思い出してしまう。
「お言葉に甘えちゃいますっ」
「ええ、嬉しいわ」
静かに微笑むお母さん。
「玄関から一番近い部屋に鏡台があるからそこにおいてある化粧品ならすべて使っていいわ。」
そう言ったお母さんにもう一度お礼を言ってから借りた。