恋の物語


あたしは慌てて家の中へ駆け込んだ。


──ガラガラッ
ガシャン!

ドンッ
パリンッ


何かが割れる音。

何かが落とされる音。

何かが壊れる音。

思い出が消える音。



─バンッ!


あたしは土足で家にはいった。

そして

あたしは思い切りリビングのドアを開け放った。



そこであたしは驚愕した。


松田さんがあたしの家のリビングを荒らしていた。


「やぁーっと帰ってきたねぇはな」

「…っなに、してるの」

「なんだぁー?その話し方はぁ!」

「なに、してるんですか」

目の前に広がる光景は目をそらしたくなるようなものだった。

倒れて砂が散らばった観葉植物。

割れた花瓶。

落とされているスプーンやナイフ。



そして、粉々に割られた家族写真の写真立て。


「…っ」

「なにって見てわかるだろう?

汚い家のお掃除だよぉ?」


いやだいやだいやだっ


「しん…っじ」

─『あたしが叫んだら来てね!』

あたしは玄関でそう伝えてここに入ってきた。

まだ、叫ぶわけにはいかない。

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