恋の物語
─がらーっ
教室をあけるたびに感じるこの視線ね。
あるあるじゃん。
でも今日はその視線が一段と多い。
あー。
うん。
見たくもなるね。
あたし、のぞみちゃん、信治。
どーゆー構成だよってね。
「あ、松本さんおはよう」
にこっ、と爽やかに笑うのは木本くん。
最近よく話しかけてくれるの。
「木本くんおはよう」
「あ、話があるんだけど…放課後いいかな」
「うーん…ごめんなさい。今日の放課後は無理です。
お昼休みはどうですか?」
断るときに敬語になってしまうこの癖。
どうにかしたい。
「うん、昼休みでいいよ
体育館前にいいかな?」
「うん!おっけーです」
あたしは指で丸をつくった。
「ありがとう」
そう言って木本くんは去っていった。