ワタシに恋を教えてください
次の日
「おはよー。」
「あっ!シオリ!
ちょっと来なさい!」
朝一でミキに人気のない所に連れ出される。
「あんたまたそのまま来たでしょ!?
せめて制服のシワくらい直しなさいよ…
あとここの汚れ、昨日と全く同じ所にあるから、ほらこれで拭いて。」
ミキが汚れを拭いてくれる。
それが嬉しくて嬉しくて、でも本当は苦しくて苦しくて仕方がなかった。
こんなことしても、意味なんかないって、心の底ではわかってた。
でも、止められない。
止めるわけにはいかない。
ワタシの心はドロドロしたものが、ずっと纏わりついていた。
「ミキ」
「ん?なに?
ほら、汚れ取れたよ。」
「……ありがとう。」
いつになく真剣な顔で言う。
「なーに真剣な顔しちゃってんの。
いつものふざけた顔はどうした?」
「うわ、人がせっかくお礼を言ってるのに……」
「そもそもあんたはね……」
ミキの説教が始まる。
でもワタシの行いに対しては何も言わない。
いつもミキが言うのは、服のシワとか、アレをする時は避妊をしろとか、そんな内容ばかりだ。
ワタシがあとに引けなくなっていることも、全て彼女はお見通しだった。
「……いつまで続けるつもり?」
昼休み、天気が良いので中庭でお弁当を食べる。
「わかんない……」
「そっか。」
ミキはワタシを攻めない。
「まぁ、辛くなったらやめるとか、相談するとか、してね。
プライドがあるのもわかるけどさ。」
「うん。」
正直自分でもいつまで続くのか分からなかった。
相変わらずヒカルとはなんの音沙汰もなかったし、道ですれ違うこともない。
ヒカルを好きなのかと聞かれると答えは絶対ノーなのに、なぜかやめられなかった。