君のことが大好きです。
「もう、2度と私に話しかけないで。」
そう、冷たく言い放ってから私は旧音楽室を出ようとした。
その瞬間、落ち着く匂いが私を包んだ。
なんで…。
なんで私はこの人に抱きしめられてるんだろう。
今までの怒りと抱きしめられた疑問で私の頭はいっぱいいっぱいだよ……。
「やめてください。」
そう言って無理やりにでも腕の中から抜けようとしてもこの人の力は強くなるばかりで抜けられない。
「やめない。」
「なんで、私を抱きしめるんですか?言いましたよね、あなたが嫌いって。それとも急に私がかわいそうに見えました?」
みんなそう、私を同情の目で見るの。
かわいそうだと思って優しくするの。
「同情ならこんなことするのはやめて!
もういい加減にしてください……。」
「同情じゃない。俺は君の名前も知らないし、性格だってなにも知らない。
けど、何かを抱えてることはわかった。
だって俺も同じだから。」
「同じってなんですか?何かを抱えてることは同じかもしれない。でもきっと、抱えてるものの重さはずいぶんと違うと思います。どっちが重かったとしても、私はあなたのことを信用なんてできない。」