運命の恋は健康診断から始まる
いつまでも見てるのも変なので一之瀬ちゃんのことを見ると、一ノ瀬ちゃんも気付いてたみたいで私を見てニコニコしてる。
私も笑顔を返してるとお客さんが検査に来たのでその人のことを見てる暇はなくなってしまった。
そしてまた必死に検査をして、次の人を呼ぼうと用紙を手にとって私は一瞬動きを止めてしまった。
あ、あの人だ。どうしよう、ちょっと緊張しちゃうけど仕事、仕事。
これは仕事。あっちは絶対、私のことなんて認識してないんだから。いつものように検査をしよう。
そう思って一つ、息をついてから私は緊張しながらその人の名前を呼ぶ。
声、上擦っちゃったらどうしよう。本当に落ち着かなきゃ。
「高倉宗一郎さん、どうぞ」
何とか声が上擦る事もなく名前を呼ぶ。
名前を呼ぶと足を組んで椅子に座って同僚の人と話していたその人が驚いた顔で私を見る。