運命の恋は健康診断から始まる

宗一郎さんは真顔で首を横に振る。


「ダメに決まってるでしょ。ちゃんと家まで送ってく」


そう言って立ち上がる宗一郎さんに続いて私も立ち上がる。


「すいません、わざわざ」


本当に申し訳ないなと思って頭を下げる私に宗一郎さんは苦笑いする。


「敬語、やめようよ。歩、もう俺の彼女だし。なんか寂しい」


改めて彼女と言われると恥ずかしくなって顔が熱くなる。


熱くなった頬に宗一郎さんの長い指が触れて、優しい笑顔で私の事を見つめてくる。


「だから、彼女を送ってくのは当然でしょ」


当然て事はないと思うけど。宗一郎さん、やっぱりすごく優しい。優しさに甘えてわがままにならないように気を付けよう。

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