運命の恋は健康診断から始まる

「じゃあ、検査始めますね」


そう言って機械についているダイヤルを回して一段階ずつあげていく。あげていくごとに今、高倉さんが指をのせている円柱状のものに強い振動が伝わっていく仕組みだ。


お客さんには振動を感じたところでボタンを押してもらうんだけど、高倉さん押すところバラバラだな。


私は一度機械から目を離して高倉さんの方を見る。


目が合った高倉さんはなぜかちょっと驚いたように身体を引いた。


どうしたんだろうと思いつつ、高倉さんの指に触れると少し汗をかいていた。


「えっと、押すところがバラバラでなかなか数字を出せないので……一回タオルで汗拭きましょうか」


そう言って用意してあるタオルを差し出す。


汗かいてたりすると感覚が変わったり皮膚の温度が変わってしまったりするから各々の検査の所にタオルが一枚置いてある。


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