運命の恋は健康診断から始まる

「何もされてないって嘘でしょ。抱きついて、ちょっと口説いちゃったとか言ってたけど」


え、口説かれたかな。そういえば高倉さんやめて俺にしないとか言ってたような。


あれって口説かれてたのか。やっぱり冗談なのか本気なのかよく分からない人だ。


「……でも、歩に即答で断られたって。ドキッとしてる様子もなくてショックだったとか言ってたよ」


そういえば全然ドキドキはしなかったな。抱きつかれて、むしろ嫌でゾワゾワした。


それを思い出して両腕を手でさする私を見て宗一郎さんが心配そうな顔をする。


「寒い?暖房強くする?」


「あ、寒いんじゃなくて。結城さんに抱きつかれたこと思い出したら寒気が」


そう言うと宗一郎さんは驚いたように目を見開く。


< 143 / 219 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop