運命の恋は健康診断から始まる
帰りに言おうと思って駐車場まで一緒に行こうと誘うと、先に一ノ瀬ちゃんがニコニコしながら私にその話をしてきた。
「よかったですね。会えて……なんかいい雰囲気だったし」
駐車場まで歩きながらそう言われた私は一ノ瀬ちゃんに笑顔を向ける。
「うん。いい雰囲気はないと思うけど、よかった。緊張してドキドキしたけど」
あんな風に話せたの、初めてだし。検査の担当になったことはあると思うけど。
高倉さんの素敵な笑顔を思い出すと頬が緩む。
「……それって恋ではないんですか?」
一ノ瀬ちゃんにそう言われて、私はなぜか顔を赤くしてしまう。
「こ、恋とか。ないでしょ、お客さんに。年も大分上だし……あっちも私のことなんて認識してないって」
なんか目がいっちゃうし、気になるなとは思うけど、そんな不毛な恋をするほど若くもない。