運命の恋は健康診断から始まる

「そうですかね?帰りにアイコンタクトとってたじゃないですか」


み、見てたんだ。あれだってたまたま目が合っただけだと思う。


笑顔で会釈してくれて、嬉しかったけど。


そう言っても一ノ瀬ちゃんはうーんと首を捻ってる。


「結婚指輪はしてませんでしたね。私もずっとその人のこと見てたんですけど、一回も目なんか合いませんでしたよ。最終確認にきた時も……なんかずっと横川さんのこと見てた気がするんですよね」


一ノ瀬ちゃんにそう言われて私は苦笑いする。


「いや、それはないでしょ。一ノ瀬ちゃんは例外として、年に一回会うか会わないかの健康診断で恋なんて始まらないよ」


次に会うのがいつになるか分からないのに、恋なんて始まるわけない。


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