運命の恋は健康診断から始まる
「お昼まだだったので」
そう答えると、高倉さんはまた迷うように視線を動かしてから、真っ直ぐに私を見る。
「……じゃあさ、ほんとに嫌じゃなかったらでいいんだけど」
お腹をさすっている私を見て、高倉さんは優しい笑顔を浮かべる。
「お昼、付き合ってくれない?俺もまだだから……奢るし」
思いがけない誘いに私は目を見開く。それを見た高倉さんの顔が、不安そうに曇った。
「あ、嫌だよね。健診でしか会ってないようなこんなおっさんに」
そう言われて慌てて私は首と手を横に振る。嫌なわけないし、どちらかというと誘ってもらえて嬉しいと思ってる。
「あ、いや、そうじゃなくて。ちょっとびっくりしただけで」
でも、いいのかな。だけど誘ってくれたのは高倉さんだし、こんな偶然二度とないと思う。