運命の恋は健康診断から始まる
「でもやっぱり緊張するかも」
バスの窓に頭を預けながらそう言う私を見て一ノ瀬ちゃんが頷いてくれる。
「あ、それ分かります。私も最初に旦那さんと会う時、口から心臓飛び出しそうなくらい緊張しました。でも、行ったらきっと楽しいですよ」
確かに、そうかもしれないけど。やっぱり緊張する。まだ何日か先なのに何だか緊張して指先冷たくなってきちゃった。
「でも、それは恋ですよね?」
こないだと同じ質問をして、一ノ瀬ちゃんはニコッと笑う。
「うん、恋ですね」
久しぶりにする恋は、胸がドキドキして苦しくなるくらいでまたまだ身体がついていかないけど。
だけど、何だかまわりの風景が違って見えるような気がするから不思議だ。
世の中捨てたもんじゃないって思える。
「頑張ってみます」
そう呟いた私に、一ノ瀬ちゃんは頑張ってくださいと笑ってくれて私も微笑み返した。