君へのラブレター

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外にでて緋色に手を引かれる。
こんな手を握るのに疑問を抱かなくなったのはいつからだろう。でも、最近は全員とつないでいるから、いや死神はあまり繋いでくれないな。
馴れ、なのか何なのかとにかく繋いでいる手に軽く力をいれて道を歩く。
夕方だからか人がちらほらといて、興味深そうに俺たちを見る。痛めの視線に少し緊張するが、もし何かあっても死なないから大丈夫だろう。

「あれ?家にいると思ったよ」

下を向きながら歩いていると、頭上から声が振ってきた。
隣にいる緋色が翠と話している。

こいつが九尾、同じ日本の神様、というかまあ化け物の類で見た目は少し似ている。
外にいたからか俺の大好きな9本のしっぽは出ていない。前に尻尾に顔を埋めて以来その聖域に触れるのを許してくれる翠がこの間緋色が触ったときに大雨を降らせていたのは何だったんだろう。
とにかく、優しくてしっかりしている翠は俺の先輩?だ。
力も強いし仰々しい着物を着てもしっくりするくらいの神々しさもおいしい紅茶を淹れてくれる優しさも、俺は、大好きだ。

「ほら、行くよ」

急に手を引っ張られ足が前に出る。突っかかって前に倒れ込むと柔らかくて暖かくてでも少し固い物に倒れ込んだ。

「んっ、ぼさっとしてんなよ、ばか」

上を見上げると底には眉を下げて笑う翠の顔。
俺は、この顔も大好きだ。

そう言えば、俺はこういう顔をする死神、紫桜が一番好きだ。けれど、紫桜はそんな顔を俺にあまり向けてくれない。天使や猫又ばかりに見せる。その顔が欲しいのは、今も変わらない。

「俺が話してるのに考え事?」

少し眉を寄せて翠が言う。痛い視線が増す気がして周りをみると緋色と目が合う。

「ごめん」

いつものように謝ると少し息を吐き出した後2人は笑ってくれた。毎回毎回こうして俺を引き戻してくれる2人に感謝しつつ、いつになればしっかり出来るようになるか自分で情けない。

「天使を迎えにいこう」

今度は翠に手を引かれながらいつも天使のいる公園へ足を向かわせた。


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