俺と元カノとストーカー
帰りの電車に乗り込むと、やはり俺は辺りを見回してしまう。

『帰りの電車に居るかもよ?』って友人の言葉が頭に残っていた事もあって、いつもよりもしつこいぐらい車内を見回したけど、貞子の姿はどこにも見当たらなかった。


今日は、前に貞子と会った電車の時間よりも1時間半程遅い。 

居る訳ないよな。

俺は安心して電車に揺られていた。

その時だった……


『あの…すみません。』

!!!

嘘だ。そんな訳ない。一気に血が引いた俺が声がした方に視線を向けると


『これ、落としましたよ。』


OL風の女性が俺のポケットからこぼれ落ちたハンカチを拾ってくれていた。


焦ったぁ。 だいぶ神経が過敏になってしまっている。

俺はぎこちない笑顔で『ありがとうございます。』とOL風の女性に言った。


『いえいえ。』OL風の女性はニコッと微笑みながら、自分の座席に戻っていった。


< 10 / 25 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop