俺と元カノとストーカー
その言葉に安堵した俺は迷いなくドアを開けたんだ。


そうしたら、いつもの佐川のお兄さんがそこには居なかった……

俺の思考が完全にショートした。


目の前に居たのは俺にいつも幸福を届けながら爽やかな笑顔を浮かべてくれる青年ではなく、【不気味】という言葉をそのまま体言した様な女性だった。


何故? 何故?? さっき、佐川急便ですって……


貞子は不気味な笑顔を浮かべながら俺をジッと見ていた。


体が固まって動けない俺に向かって貞子はジトっとした口調で言った。


『来ちゃいました……』

俺はあまりにも驚き過ぎて声が出てこない。多分、俺史上一番の間抜け顔で立ち尽くしていたと思う。


人間、ビックリの度が過ぎると声って出ないんだな。俺は時間にして10秒程度だと思うけど、何10分も体が固まって動けない様な感覚に陥っていた。
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