君を忘れる方法
あれから、遥希は上の空。
何を言っても返事はない。
「遥希?」
「あ、ごめん。なに?」
「ううん。なんかあった?」
「いや、何も無い。」
その一点張り。
「ところで、遥希はどーして転入してきたの?」
ナイスタイミングだ奈々美!
「あ、それは俺も気になってた。」
「俺さ、アメリカに行くはずだった。
でも、車で事故って行けなくなったんだ。
それから両親は帰らぬ人になって。
その時のショックから大切な何かの記憶が消えた。」
「そう、だったんだ。」
だから、私のこと覚えてないんだ。
「うん。それから俺は隣街の学校に入学して、いろいろあってさ?ここに転入してきた。」
遥希。ごめん。
私は、遥希が辛い時に何もしてあげれなかった。
ごめんね遥希...。
急に溢れてくる涙。
「あ、れ。なんで、だろ。」
「美音は優しいからな。自分も辛くなったんだろ?」
ってカバーしてくれたのはだいちゃん。
「う、ん。ごめ、んね。」