sweetlove
けど、拓斗さん、自分がプロだったこと、口にしかった。

確かにプロといってもさほど目立つような派手な選手ではなかった。

でも確かな計算でチームを引っ張っていた

私にはそんな印象だけど、拓斗さんのいたチームにはトッププレイヤーと呼ばれた選手が何人もいた。

その人らはテレビに抜かれることも多いけど、拓斗さんはチームの一人でしかなかった。

私は小さい頃から知っていて、追ってきた大切な人だったからこそ、過剰評価しているのかもしれないけど。

実力は群を抜いていたはず。

誰よりも、コートの上では輝いていたし、楽しんでいた。

チームのためにと、地獄のような努力をしていたのも知ってる。

それでも拓斗さんは満足していなかったのかもしれない。

「オーイ?」と拓斗さんに顔を覗き込まれて我に返る。

「どした?」と聞かれた。

「いえ。ただいつみてもカッコいいなぁと思って」と私はとびきりの笑顔でごまかした。

そしたら明らかに照れてくれる拓斗さんは少し可愛かった。

「そろそろ、帰ろうか」と言われて、私たちは家路に向かって歩き出した。

それから頻繁に私たち3人はバスケを楽しんだ。

夏ー試合前。

メンバー発表があり、1年レギュラーを勝ち取った怜央はすごく嬉しそうにしていた。

私にウインクまでして。

怜央と親しくなったことで、みよりはかなり警戒しているようだった。

けど、拓斗さんも楽しそうだし、いいかなって考えていたんだけど!

みよりにとっては好きな人以外の男性と親しくするのが納得出来ないみたい。

「今年こそは勝つぞ!」と意気込んでる男バスキャプテン。

確かにがいるから怜央がいるからいい勝負にはなるはず。けど、少し不安はあった。

岬さんとダイチさんは周りが羨むほどのゴールデンコンビだった。

ふたりのお陰でチームの活力は増していた。

そんな二人を失った男バスに勝ち目があるのかと、余計な心配をしてしまう。

それでも笑っていて、怜央は、

「せっかくここに来たので‼涼先輩には負けられませんね~」なんて楽しそうに言っている。

「当たり前だ!負けねぇ。俺らはな‼」と男バスキャプテンは断言しているので、その言葉を信じようと思った。

私たちのメンバー発表も行われる。

女子には1年生にレギュラーを渡さなかったキャプテン。

私は出してもいいと思ってたんだけどね。

まあ仕方ないよね。
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