sweetlove
数日後ー

いよいよ試合当日を迎えた。

男女共にシードを取っている私たち。

負けられない試合が始まった。

相変わらず涼は暴れている。そんな様子を私と、拓斗さんは並んで見守っていた。

怜央はというと、試合に向けて、最終練習をしてるみたい。

キャプテンと言い合いしているみたい。

けど…じゃれあってるようにしか見えない。

涼はもちろん圧勝で勝ち進んできた。

だとは思ったけど。

いよいよウチらの試合が始まる-

シードだったからか、体力有り余ってます感を存分に出してきた試合だ。

声もいつも以上に出てる。先輩方が卒業して心配してた私だけど、どうやら気にする必要はなかったみたい。

すごい地響きと大熱狂に負けない白熱した試合を繰り広げてる。

その中心にいるのはやっぱり怜央で。

言葉が出ないほどに魅入ってしまうほどだ。

息を飲む展開、息をするのを忘れそうなハラハラドキドキするゲーム展開。

両者譲らない、攻防戦。

どれをとっても昨年より進化している気がした。

怜央の偉大さを改めて感じた。

圧勝。

やっぱり涼と直接対決するみたい。

私たち女子の試合も始まった。

まあ、1回戦は快勝。

私と、怜央は試合の話で盛り上がっていて気がつけば、2回戦が始まろうとしていた。

2回戦も順調に勝ち上がり、3、4と試合も何とかものにして、いよいよ、男女共に決勝戦を迎えた。

男子の決勝はやっぱり涼のところと。

いつもは涼を応援している拓斗さんだけど…

「怜央くん!頑張ってね。涼との直接対決楽しんで!」と声をかけていた。

怜央は「はい!」と嬉しそうに言うと、コートに向かっていった。

私と、拓斗さんはそんな頼もしい怜央の背中を見送った。

私たちは息を飲む試合展開を見守った。

両者互角だった。一進一退で、取られては取り返す、そんな展開が続いた。

前半戦は、わずか5点差で負けた。

けど…怜央は普通にしていた。

どころか、かなり自信をもっているように見えた。

怜央は勝つ気満々で、キャプテンたちも負ける気がしてないようだった。

拓斗さんが横でいけるなと言ったので、私は思わず拓斗さんを見てしまった。

そしてにこっと笑ってですね!と言った。

いよいよ後半戦が始まった。私たちは見守りながら、拓斗さんに聞いてみた。

「もしも、もう一度、プロで活躍出来るならチャレンジしてみたいですか?」って。

そしたら拓斗さん、

「もちろんだよ‼俺の夢は、もう一度プロで活躍して、理解ある人に恵まれて結婚。そして、その子供と一緒にバスケすることだ」と笑顔で話してくれた。

力になりたい!そう強く思った。

男子の試合を興奮気味に応援する拓斗さんを見て、聞かずにはいられなかった。

初っぱなから全力で攻めている我が校。

怜央とキャプテンを筆頭にとりあえず、打ちまくる。

怜央は兼ねてからスリーポイント距離を練習に取り入れ、精度をあげ、磨きをかけてきた。

それを知ってるキャプテンだからこそ、上手いパス回しで怜央に回して、皆が走る。皆の位置を確認すると、スリーポイント圏内で、安心して怜央は投げている。

それもあってか、だんだん差が開いてきた。

相手に奪われる前に怜央がゴール目指してボールを投げている。

ゴール下もほとんどウチがしめているため、点を量産していく。

むこうは、なすすべなしといった感じだったが、やはり、そこは王者の意地なのか、しっかり食らいついてくる。

最後まで点を量産したウチは大差で勝利を収め、全国へとコマを進めた。

私は拓斗さんに頑張れと抱き締められて、気合いを入れた。

私たち女子は一歩及ばず負けてしまった。

涙が溢れてきた。悔しくて。

そんな私に1番にかけよって抱き締めてくれたのは、拓斗さんだった。

「大丈夫!かっこ良かったよ!」って。

ほんとは岬さんからこうして言ってもらえてれば、別れずにすんだのかもしれない。

私はしばらく、拓斗さんの腕の中で泣いた。

しばらくして、私は外に出る。空気を吸いに。

ううん、ほんとは涼と話したかった。

今日の試合も振り返って。

いつものように涼はいた。

「涼!お疲れ様」と私が声をかけると振り向いてくれた。

「…負けたよ…完全に。思った以上に強かった。怜央が」と切なげに言う涼。

「でしょ?拓斗さん直伝だもの‼頑張ったのよ、あの子」と私が言うと笑ってくれた。

「お前は惜しかったな」と言われて、仕方ないよと私は言うしか出来ない。


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