sweetlove
ファミレスについて、食事を始めた頃、涼のスマホがなった。

どうやら相手は拓斗さんらしい。

電話を終えると、涼が私を見た。

「兄さん、来るってよ」とだけ伝えられた。

何で?と思ったけど、聞かなかった。

私はそっかと言って食事を再開させた。

息を切らせながら店に入ってきた拓斗さんは荒く肩で息をしながら、私たちの席に来て、私の向いに座った。

とりあえず運ばれてきた水を一気のみしている。

私は思わず笑ってしまった。

「何でそんなに…走ってきたんですか?」と私が聞くと、少し顔を赤くしながらうつむいてぼそぼそと何か言ってるけど聞き取れない。

替わりに涼が教えてくれた。

「みずきに会いたくて、学校に行ったら、男子の全国が終わるまで、女子はお休みだと言われた。だからみずきの家に向かったが、出掛けたと言われて連絡したけど繋がらず、焦って俺に電話してきた結果、今に至る」と。

「そんなに会いたかったんですか?」と私が笑うと小さくうんと言われた。

とりあえず、拓斗さんは注文し、少し落ち着いたらしい。

「なんか…ごめんなさい。急に休みにされたから、何もやる気になれなくて、家でボッーと引きこもってたらたまには外出なさい!ってお母さんにボール渡されて…そのまま何も持たずに、ボールだけ持って出てきてしまって…そしたらもちろん練習しちゃうし…」と私が言うと、

「良かった。とりあえず、無事で」と笑顔をくれる。

この笑顔を見るたび、複雑な気持ちになるのは、いつか拓斗さんの隣を離れないといけないから?

それとも、心のどこかで岬さんを待ってるから?

わからない。けど…今は考えなくていいそんな気がした。

「で、仲直りしたみたいやし?何の話してたの?」と拓斗さんは運ばれてきた料理を口に運びながら聞いてきた。

私たちは顔を見合わせて笑った。

『今言ってもいい?』と目で合図すると頷いてくれたので言うことにした。

「実は…」と私は将来の夢について語った。その向かいで大きく相槌を打ってくれる涼。

「これは、二人の夢だから!これからは同志として同じ目標掲げて頑張ろうって約束した」と涼は言ってくれた。

嬉しそうに目を潤ませる拓斗さんに私たちは笑いかけた。

「俺ももっと頑張るね!」と拓斗さんは言ってくれる。

私はそれが嬉しかった。

しばらくして、他愛なく会話を楽しみ店を出た。

お会計は3人分、拓斗さんが支払ってくれた。

「俺、先帰るわ。またね!」と気をきかせたのか、涼は帰っていった。

二人きりになった私と拓斗さん。
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