sweetlove
とりあえず歩き始めた私と拓斗さん。

「…なあ、あれ、本気なの?」と不意に拓斗さんは言った。

「もちろんですよ!そのために今から頑張れることは頑張っときたい」と私が言うと、

「ほんとにありがとう。いつも俺に元気をくれて」と拓斗さんは笑ってくれた。

けど、ふと、少し寂しそうな顔をして、

「あんまり、俺のためって言われるとあいつに申し訳ない。きっとこのままじゃ、アイツにみずきちゃん返したく無くなる…」と拓斗さんは言うのだった。

それがすごく切なかった。

私だってずっと一緒にいたいから言ってるのに…

けど、拓斗さんは、私をちゃんと岬さんに返してあげないと!って本気で思ってくれてる。

ほんとは、伝えたいけど、今はまだ言ってはいけない気がして、曖昧に笑うことしか出来なかった。

しばらく無言で歩いて、家に帰った私は、

「おかえりなさい、あなたって愛されてるわね」と上機嫌でお母さんは言った。

私は部屋に戻って、着替えを取ると、お風呂場に向かった。

シャワーを浴びることにした。

お母さんはきっと拓斗さんのことを恋人だと思ってるよね?

私もそうなればいいなぁとは思うけど。

ほんとのことはまだ言えていない。

とりあえず、少しだけ出ている宿題を始めた。

休みは暇すぎてやることがなくて困る

そんなこと言ったらほんとは怒られるよね?

宿題を何とか終えて、私はベットに寝転がった。

そんな日が3週間くらい続いた。

男子は全国に行けたものの、3回戦敗退という悲しい結果に終わった。もう少しってところで、少し及ばず、表彰台を逃した。

けど…歴代最高功績。誇らしかった。

だけど、思った以上に落ち込んでいた。

私たち女子も部活を再開する、今日。

男子の覇気は完全に無くなっていた。

「お疲れ様ー」と声をかけた私も棒読み。

「…んで…なかったんですか?」怒りに震えたような聞き取れないことを言う、怜央。

「あ?」思わず言ってしまった私は慌てて口を抑える。

「何で…先輩がいてくれないから、俺ら、負けたんですよぉ~いてくれたら、勝ててたはずなのに‼」と怜央は言いながら私をポカポカ叩いた。

そして泣いている。悔し涙だろう。

何?どーゆうこと…?私のせいなの?




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