sweetlove
その後すぐに

「どした?」と顧問が来た。

拓斗さんも来てくれた。そして私の手を見て

「…何した?」と言われた。

「相手にはね飛ばされたらしくて…捻挫したみたいなの」とみよりは言う。

「大丈夫なのか?あの時の記憶が…?」と拓斗さんは心配してくれた。

私は頷く。

「無理すんな」と拓斗さんは抱き締めてくれた。

「…どうしたい?」と顧問が聞いてきた。

「…何いってんですか?先生!出しちゃダメでしょ‼」と拓斗さんは言って私から離れた。

「俺は、河野さんに聞いてる」と顧問は言った。

「…すいません」と拓斗さんは言ってうつむく。

心配してくれてるのはよくわかる。

けど!!

キャプテンとして、最後まで引っ張りたいという気持ちはある。

でも、怖い。あの時みたいに続けて悪化させたら?

多分相手は後半も全力で来るよね?

もし同じようなことが起こったら?今度は捻挫ではすまないかもしれない。

骨折でもしたら?

全国どころか、冬の大会でさえ、出場出来るかあやしいものだ。

そしたらこのまま終わることになるよね。

最後の大会になるかもしれないわよね?

そしたらやっぱり後悔しないように試合出るべきかしら?

かなり点差も開いてるし。いくらみよりがいると言っても今のチームでは正直不安が残ってたのも事実だ。

険しい顔して私は悩んだ。

そうしてる間にも刻一刻と時間は迫ってくる。

「ほら、早く決断して!あんまり時間無いよ!」とみよりに急かされる。

拓斗さんも私を見つめていた。

顧問も穏やかな顔して私を見つめていた。

「後悔しないように出たい気持ちはあるんです!けど…怖くて」と私が言うと。

「なら、最後まで諦めず戦っておいで!後悔しないように」顧問はそう言ってくれた。

私は顧問のその言葉に背中を押され、続行を決断した。

「やります!やらせて下さい!」と私は頭を下げた。

「よしっ!じゃあ後半は巻き返すよ~!けど…みずきは無理しないように皆でサポートしよう!」とみよりは言ってくれた。

私たちは『はい!』と返事して、コートに出た。

私はコートの中を走りながら回りを見た。

みよりを中心にメンバーたちは私にパスを回してくれた。

もちろん私もそれに答えるために、ドリブルで攻める。

シュートも決まった!

無理は良くないけど、調子は好調みたい。

私たちは点数を詰めていった。気づけばすぐそこまで追いやっていった。

みよりがガンガン攻め始めた。

ほぼ暴走だ。お陰でかなり開いていた点数はあっという間に形勢逆転。

私たちは逆転に成功した。

そこからは皆にサポートされながら、点を量産していく。

そして、追い討ちをかけるように、私にまた悲劇が。

さっきぶつかってきたアイツにもう一度ぶつかられたのだ。

「…うっ、つ…」思わず声が漏れ、よろけた。

けど…それに瞬時に気づいたみよりが私を支えに来てくれて、何とかこけずにすんだ。

「みより、ありがとう」と私が笑うと、

「大丈夫だよ!にしても、アイツ…なんで反則取られないわけ?2回目じゃん!こかされてるんだし、抗議してもよくない?」とみよりは言ってくれた。

確かにそうかもしれない。

けど…実力で大差をつけている私たちにそこまで犠牲にする必要はないと思ってる。

「怒んないで‼多分勝つから!」と私は笑っておいた。

そして、試合にしれっと戻る。

ブザーがなるまで必死に走り回り、シュートを決めていく。

少し手が痛むけど。

何とか、決勝をものにした。

県大会優勝!男女共連覇を達成して全国に行った。

その頃には手もよくなり、私たち男女共に表彰台に上がっていた。

女子が準優勝、男子をが3位だった。

また少し、決勝には及ばなかったけど、クセや、反省点等は見えたので、次こそは何とかうまくいきそうだ。

夏休みなって、私は勉強を中心にし、練習を少し控えるようになった。




< 54 / 69 >

この作品をシェア

pagetop