sweetlove
確かにスゴいプレイかと言えばそこまでだし、荒削りだけど、芯の強さとメンタルはものすごく強い。

それに、チームワークも最高に良い。

皆が個々にボールを追い声を掛合い、綺麗なパス回しを披露し、完全に流れを作っている。

よしっ!何度か思わずガッツポーズもしてしまうけど、拓斗さんも興奮気味に私の隣で声をあげていた。

前半、なんとかリードを保ったまま試合を終えた。

後半は、私とみよりを筆頭に3年組がメインとなる構成だ。

後輩たちは予想以上に頑張ってくれた。

そして、最高の形で私たちに繋いでくれた。

私たちも負けずと、必死に食らいついていく。

拓斗さんの声や、皆の声援が私たちを後押しした。

作戦通り、相手はもちろん私たちの動きなんて読めるはずもない。

お陰で試合はスムーズに進んだ。

気づけば大差で快勝し、初戦を突破した。

男子の試合が始まる。拓斗さんは更に興奮気味に怜央たちに声援を送り、激を飛ばした。

男子たちも順調に勝ち上がり、気づけば準決勝になっていた。

なのに…涼の姿は見つからない。

私は気になって拓斗さんに聞きてみた。

「涼は試合出てないんですか?」って。そしたら複雑そうな顔をしながら本人に聞きなと言われてしまった。

私はこっそり抜け出して、いつもの場所に来てみた。

そこには涼がいた。風を受け、たそがれているように見えるその様はどことなく切なげで寂しそうだった。
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